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研究紹介

 専門は、変異理論を中心とした社会言語学や文化人類言語学。特に、言語変異と言語変化、方言接触、新方言形成、言語接触、言語消滅、言語維持と言語シフトなどに関心がある。

 これまで、「多言語社会における言語変化」をテーマに研究を進めてきた。具体的には、パラオ共和国における言語使用とその変化をケーススタディとして取り上げ、1997年より延べ一年間にわたる現地調査を行うとともに、統計やエスノグラフィーを用いた分析を行い、パラオにおける言語使用の特殊性に考察を加えてきた。パラオは日本および米国による一世紀におよぶ統治を経て独立を果たし、パラオ語はもとより、日本語、英語の3言語が複雑に入り混じった国家であるため、多言語社会における言語変化の実態を解明する上で最も適切な地域であると考えたからである。年齢や性といった話者の属性のみならず、世代、ジェンダー、さらには第二言語話者との接触の度合い、ソーシャルネットワーク、教育、マスメディア、言語意識等に着目することにより、パラオにおける多言語使用とその変化をもたらすメカニズムを浮き彫りにすることができ、その研究成果を随時発表・報告してきたところである。

 しかし、こうしたパラオ社会における言語調査は、単なる地域研究の枠を超え、最終的に他地域にも応用できる原則、普遍化できる法則の探求を目指すものである。例えば、科学研究費(2003‐2006年度若手研究B)の助成を得て3ヶ年計画で研究を進めている「パラオ日本語」の特徴とその変化を分析することは、他の言語の変化や衰退に示唆を与えるものとなる。また、言語選択の際に見られる「象徴的支配」と「抵抗」をヘゲモニー的ダイグロッシアの視点から考察することにより、他の旧植民地・新興独立国における言語使用との共通点を多く見出すこともできる。引き続きこうした観点から研究を進めていきたいと考えている。


最終更新日:2005年8月26日
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