担当科目(平成15年度)
1. 東京大学
- 言語情報科学演習 I, II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):音韻論・形態論に関する演習を行い、同時に論文作成の指導を行う。II では1年次の演習を踏まえ、音韻論・形態論に関する個別のテーマを取り上げて演習を行い、同時に論文作成の指導を行う。
- 言語情報解析演習 III(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):この授業では,音韻理論の1つである最適性理論を扱う。目標としては,最適性理論のねらいや概要についての基本を理解することと,2)様々なデータを観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及することの2つが挙げられる。授業の進め方としては,ある1つの論文を叩き台とし,パラグラフごとに内容確認をしながら,随時他の文献でも補いつつ考察を深めていく。今回のトピックとしては,日本語アクセントを取り上げる予定である。
- 言語科学基礎論 II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):この授業では,言語学の一部門である音韻論を扱う。目標としては,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を概観しつつ,これらが音韻理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を養成することと,2)様々な日本語や英語のデータを観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及することの2つが挙げられる。授業の進め方は講義形式を採用し,こちらで用意する教材を叩き台としてトピックごとに内容確認をしながら,随時ハンドアウトで補いつつ応用的な諸問題に関する考察を深めていく。音韻論がいかに身近な学問であるかを体験してもらいたい。また,音韻理論のより深い理解のためには,「英語(文法)c」(最適性理論研究)も合わせて受講するのが望ましい。
なお,この授業は4つの言語学入門講義の1つであり,言語学分野で修士論文を書く場合には必修科目となっているが,言語学以外を専門とする学生で音韻論の基礎を身につけておきたいという学生の履修も歓迎する。いずれの場合も,評価は出席数・授業中の適切な発言・最終日に行う(一夜漬けの効かない)試験によって行うので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。その他,詳細については初日に行うガイダンスにて連絡する。
- 一般言語理論演習 II(教養学部・言語情報科学分科):この授業では,言語学の一部門である音韻論を扱う。目標としては,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を概観しつつ,これらが音韻理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を養成することと,2)様々な日本語や英語のデータを観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及することの2つが挙げられる。授業の進め方は講義形式を採用し,こちらで用意する教材を叩き台としてトピックごとに内容確認をしながら,随時ハンドアウトで補いつつ応用的な諸問題に関する考察を深めていく。音韻論がいかに身近な学問であるかを体験してもらいたい。また,音韻理論のより深い理解のためには,「英語(文法)c」(最適性理論研究)も合わせて受講するのが望ましい。
なお,この授業は基本的に修士課程学生のための入門講義(大学院の言語情報科学専攻の「言語科学基礎論 II」との合併科目)である。学部生の履修希望者は,あらかじめ「言語情報分析論」またはそれに相当する入門授業を履修していなければならない。また,評価は出席数・授業中の適切な発言・最終日に行う(一夜漬けの効かない)試験によって行うので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。その他,詳細については初日に行うガイダンスにて連絡する。
- 英語(文法)(6)(教養学部・言語情報科学分科):この授業では,文法理論の1つである最適性理論(Optimality Theory)を概観する。目標としては,1)英語で書かれた文献講読を通じて,英語の読み方や議論の仕方はもとより理論言語学についての基本的な知識や考え方を養成することと,2)最適性理論の方法論を序説した上で,これが音韻論を中心とした分野にどのように適用されるかを理解することの2つが挙げられる。授業の進め方は演習形式を採用し,担当者を決めて教材を輪読しながら内容を確認・検討する形で進めていく。音韻論がいかに整然とした理論体系を持つものかを体験してもらいたい。
なお,この授業で用いる教材は簡潔・明瞭な英語で書かれており,議論の展開も明快な論理で構成されているので,理論を扱うと言っても全く臆する必要はない。ただし,「一般言語理論演習 II」(日英比較音韻論研究)も合わせて受講した方が,音韻現象の様々なトピックに触れられて,より深く理解できるであろう。また,評価は出席数・授業中の適切な発言・演習担当によって行う(試験やレポートは行わない)ので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。その他,詳細については初日に行うガイダンスにて連絡するが,受講者は Archangeli & Langendoen eds. (1997) Optimality Theory: An Overview (Blackwell Publishers) をあらかじめ Foreword から読み進めておき,当日持参すること。
2. 大阪外国語大学(集中)
- 英語学研究 I(外国語学部地域文化学科・アメリカ講座):この授業では,英語学の一部門である音韻論,特に日英比較音韻論を扱う。目標としては,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を概観しつつ,これらが音韻理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を養成することと,2)様々な日本語・英語のデータを観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及することの2つが挙げられる。授業の進め方は講義形式を採用し,下記の指定教材で日本語音韻論の基礎を確認しながら,こちらで用意するハンドアウトで英語音韻論との比較検討を行い,応用的な諸問題に関する考察を深めていく。音韻論がいかに身近な学問であるかを体験してもらいたい。
なお,受講者は上田功教官の「英語学特講 I」を併せて受講することが望ましい。また,Tsujimura, N. (1996) An Introduction to Japanese Linguistics (Blackwell) の第3章 "Phonology" をあらかじめ入手して読んでおき,受講時に持参すること。評価は,出欠と最終日に行う試験によって行う。
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