担当科目(平成20年度)
1. 東京大学
- 言語情報科学演習 I, II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):音韻論・形態論に関する演習を行い,同時に論文作成の指導を行う。II では1年次の演習を踏まえ,音韻論・形態論に関する個別のテーマを取り上げて演習を行い,同時に修士論文作成の指導を行う。
- 言語情報科学特別演習 I, II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):音韻論・形態論に関する演習を行い,同時に論文作成の指導を行う。II では1年次の演習を踏まえ,音韻論・形態論に関する個別のテーマを取り上げて演習を行い,同時に博士論文作成の指導を行う。
- 言語科学基礎理論演習 II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻)(講義題目:最適性理論の方法論と言語分析への応用):この授業では,文法理論の1つである最適性理論に関する演習を行う。今回のテーマは「最適性理論の方法論と言語分析への応用」とし,参加者の分担発表によって,最適性理論の創始者の1人である John McCarthy の最新作 Doing Optimality Theory (Blackwell) を題材として紹介してもらいつつ,全員で建設的/批判的検討を加えていくものとする。
授業の進め方は分担・発表形式を採用し,参加者にセクションごとのポイントを口述してもらいながら(またはハンドアウトを作成してそれに基づき内容紹介してもらいながら),質疑応答する形で進めていく。評価は出席数や発表や議論への参加度など(場合によってはレポートも)によって行う。
なお,この授業では音韻論や最適性理論に関する予備知識は不可欠であり,言語科学基礎論 II または一般言語理論演習 II など,音韻論に関する科目を履修済みであることが望ましい。
- 言語科学基礎論 II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻)(講義題目:音韻論入門):この授業のねらいは,言語学の基本的な方法論や思考法を音韻論を通して理解するとともに,この分野の基本的概念を身につけることと,身近な言語現象を自ら観察・記述・分析することで,問題設定から問題解決までの道筋を体験してもらうとともに,批判的検討ができるようにすることである。具体的には,こちらで用意する教材・プリントを用いつつ,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになること,2)見い出した規則性や法則性が,音韻論における理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につけること,3)日本語や英語のデータを主体的に観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及できること,などを目標とする。
授業の進め方は講義形式を採用し,指定教材を叩き台としてトピックごとに内容確認をしながら,配付するハンドアウトにより考察を深めていく。 あらかじめ教材を読んできていることを前提に話を進めるので,授業時には必ず指定範囲を読んでおくこと。なお扱うトピックは,「分節音に関する現象」「音節・モーラに関する現象」「アクセントに関する現象」など,広く深くカバーしたい。評価は出席数・授業中の適切な発言・最終日に行う(一夜漬けの効かない)試験によって行うので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。その他,詳細については初日に行うガイダンスにて連絡する。
なお,この授業は4つの言語学入門講義の1つであり,言語学分野で修士論文を書く場合には必修科目(1年次に履修)となっているが,言語学以外を専門とする学生で音韻論の基礎を身につけておきたいという学生の履修も歓迎する。ただし,一般言語理論演習 II との重複履修はできないので,内部進学生は注意すること。
- 一般言語理論演習 II(教養学部・言語情報科学分科)(講義題目:音韻論入門):この授業のねらいは,言語学の基本的な方法論や思考法を音韻論を通して理解するとともに,この分野の基本的概念を身につけることと,身近な言語現象を自ら観察・記述・分析することで,問題設定から問題解決までの道筋を体験してもらうとともに,批判的検討ができるようにすることである。具体的には,こちらで用意する教材・プリントを用いつつ,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになること,2)見い出した規則性や法則性が,音韻論における理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につけること,3)日本語や英語のデータを主体的に観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及できること,などを目標とする。
授業の進め方は講義形式を採用し,指定教材を叩き台としてトピックごとに内容確認をしながら,配付するハンドアウトにより考察を深めていく。 あらかじめ教材を読んできていることを前提に話を進めるので,授業時には必ず指定範囲を読んでおくこと。扱うトピックは,「分節音に関する現象」「音節・モーラに関する現象」「アクセントに関する現象」など,広く深くカバーしたい。評価は出席数・授業中の適切な発言・最終日に行う(一夜漬けの効かない)試験によって行うので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。
なお,この授業は基本的に修士課程学生のための入門講義(大学院の言語情報科学専攻の「言語科学基礎論 II」との合併科目)である。学部生の履修希望者は,あらかじめ「言語情報分析論」またはそれに相当する入門授業を履修していなければならない。その他,詳細については初日に行うガイダンスにて連絡する。
- 言語情報科学 I(教養学部・言語情報科学分科)(講義題目:言語学の考え方と方法論:音韻論の場合):この授業では言語情報科学の方法論の1つとして言語学の例を取り上げ,中でも人間の発する「音声」の分布や変化の法則を扱う分野(音韻論)の接近法を学ぶことを通して,現代言語学の目標や発想などを理解することを主眼とする。
題材は日本語や英語に観察される身近な音声現象を扱い,方法論も特定の理論に左右されないものを用いるので,前提知識は不要である。ただし,毎回の授業では指定範囲を読んでくることを前提として話を進め,授業中の発言を評価に取り入れるので,積極的な態度が望まれる。評価は,授業参加の積極性40%,試験60%の配分にて総合的に決める。<教科書>窪薗晴夫『日本語の音声』(現代言語学入門2)岩波書店<参考書>田中伸一『アクセントとリズム』(英語学モノグラフシリーズ14)研究社
- 英語(20)(教養学部・言語情報科学分科)(講義題目:英語で読む日本語音韻論):英語で書かれた日本語音韻論に関する論文をいくつか読む。それを通して,言語学における論文の構成・議論の展開・説明の方法論・証拠提示の仕方などを学びつつ,同時に観察・内省によって反証可能な日本語を用いて,言語データに潜む規則性の不思議さや面白さを味わっていきたい。その目的のため,議論の堅実性とデータ的な面白さを兼ね備え,時代を画してきたような(古くて新しい)良質な論文を扱っていく。
題材として,Junko Ito 氏と Armin Mester 氏による一連の共著論文,IM (1986, Linguistic Inquiry 17:1, 49-73), IM (1989, Language 65, 258-293), IM (1990, CLS 26-II: Papers from the Parasession on the Syllable in Phonetics and Phonology, 213-239), IM (1995, The Handbook of Phonological Theory, Blackwell, 817-838) を順番に扱う予定である。授業の進め方は演習形式を取り入れ,分担による発表と質疑により進めていく。発表,質疑の参加度,レポートなどを総合評価する。
- 言語科学2(教養学部・言語情報科学分科)(講義題目:音体系と言語学):この授業では,人間の発する「音声」の分布や変化の法則を扱う分野(音韻論)の接近法を学ぶことを通して,現代言語学の目標や発想などを理解することを主眼とする。題材は日本語に観察される身近な音声現象を扱うが,適宜英語や他言語の現象も紹介するつもりである。方法論も特定の理論に左右されない一般的なものを用いるので,前提知識は不要である。
毎回の授業の進め方としては,下記教科書の指定範囲を読んでくることを前提として,講義形式で話を進めるが,プリントにて補足する場合もある。議論において,質問も大歓迎だが,指名も頻繁に行なう。積極的な参加を期待したい。
評価は,出席や発言など授業参加の積極性30%,小テスト20%,期末試験50%の配分にて決める予定。教科書は窪薗晴夫著『日本語の音声』(岩波書店)を使用する。
2. 東大(本郷)
- 言語学特殊講義(大学院人文社会系研究科・文学部・言語学研究室)(音韻論と音韻理論):この授業は音韻論・音韻理論をテーマとする。目標としては,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになること,2)見い出した規則性や法則性が,音韻論における理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につけること,3)さらに,データを主体的に観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及できること,などである。前半はデータ中心,後半は理論中心に講義する予定である。
教材としては,Tsujimura, Natsuko (ed.) (1996/2006) "Chapter 3: Phonology," in Introduction to Japanese Linguistics, Blackwell.を叩き台にしつつ,主にこちらで用意するプリントを使用する。ただ,テキスト(コピーで可)も用意し,あらかじめ読んでおくこと。
- 音韻論(音韻論の基本問題と最適性理論):この講座では,言語学・文法研究の一部門としての,音韻論の基本的な考え方や方法論について講義する。その過程で,60年代から今日に至るまでの,規則に基づく音韻論から制約に基づく音韻論への変遷について講じ,その歴史的必然性について振り返る。
目標としては,日本語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになることと,見い出した規則性や法則性が,音韻理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につけること,などである。
内容としては,講義期間において,1)音韻論の目標と方法論・基本的な音韻パターンと音韻規則,2)規則と規則の順序関係・規則適用に課せられる制約,3)規則に基づく音韻論と制約に基づく音韻論との比較検討,4)最適性理論の出現背景と方法論,5)獲得・言語間類型・言語内バリエーション・共時変異・歴史変化などへの応用,などについて順次扱う。(詳細はホームページにて)
4. 新潟大学(集中)
- 英米言語概論 B(人文学部・地域文化課程英米文化履修コース):[概要] 人間言語で用いられる音の分布や配列は,一見複雑には見えるがランダムになされているわけではなく,ある種の法則に従っている。それは誰しも当然のように受け入れ,それに従って言語を用いているにもかかわらず,自然法則の場合と同様に普段意識されることは全くない。しかし,法則性があるからこそ,母語話者は言語音の分布や配列を難無くこなし,その獲得に大差は見られないのである。本講義ではこうした言語音に成り立つ法則を扱う分野 --- 音韻論の世界へと誘い,日本語や英語などの身近な言語現象を観察しながらいくつかの法則性について考察する。
[達成目標]
○科目のねらい
・言語学の基本的な方法論や思考法を音韻論を通して理解するとともに,この分野の基本的概念を身につける。
・身近な言語現象を自ら観察・記述・分析することで,問題設定から問題解決までの道筋を体験してもらうとともに,批判的検討ができるようにする。
・あわせて,音韻論がいかに身近な学問であるかを実感する。
○学習の到達目標
・日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになる。
・見い出した規則性や法則性が,音韻論における理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につける。
・さらに,日本語や英語のデータを主体的に観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及できる。
田中伸一のホームページへ