担当科目(平成25年度)
1. 東京大学
- 言語情報科学演習 I, II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):音韻論・形態論に関する演習を行い,同時に論文作成の指導を行う。II では1年次の演習を踏まえ,音韻論・形態論に関する個別のテーマを取り上げて演習を行い,同時に修士論文作成の指導を行う。
- 言語情報科学特別演習 I, II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻):音韻論・形態論に関する演習を行い,同時に論文作成の指導を行う。II では1年次の演習を踏まえ,音韻論・形態論に関する個別のテーマを取り上げて演習を行い,同時に博士論文作成の指導を行う。
- 言語科学基礎論 II(大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻)(講義題目:音韻論入門):この授業では,人間の発する「音声」の分布や変化の法則を扱う分野(音韻論)の接近法を学ぶことを通して,現代言語学の目標や考え方や方法論などを理解することを主眼とする。題材は日本語や英語に観察される身近な音声現象を扱うが,適宜他言語の現象も紹介するつもりである。
具体的には,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになること,2)見い出した規則性や法則性が,音韻論における理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につけること,3)日本語や英語のデータを主体的に観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及できること,などを目標とする。
授業の進め方は講義形式を採用し,指定教科書を叩き台としてトピックごとに内容確認をしながら,随時ハンドアウトにより考察を深めていく。あらかじめ教科書を読んできていることを前提に話を進めるので,授業時には必ず指定範囲を読んでおくこと。評価は出席数・授業中の適切な発言・最終日に行う(一夜漬けの効かない)試験によって行うので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。
なお,この授業は4つの言語学入門講義の1つであり,言語学分野で修士論文を書く場合には必修科目(1年次に履修)となっているが,言語学以外を専門とする学生で音韻論の基礎を身につけておきたいという学生の履修も歓迎する。ただし,言語理論 III との重複履修はできないので,内部進学生は注意すること。
教科書:田中伸一 (2009)『日常言語に潜む音法則の世界』開拓社.
- 言語理論 III(教養学部・言語情報科学分科)(講義題目:音韻論入門):この授業では,人間の発する「音声」の分布や変化の法則を扱う分野(音韻論)の接近法を学ぶことを通して,現代言語学の目標や考え方や方法論などを理解することを主眼とする。題材は日本語や英語に観察される身近な音声現象を扱うが,適宜他言語の現象も紹介するつもりである。
具体的には,1)日本語や英語を中心とした自然言語の音韻体系・音韻現象を観察しながら,そこに含まれる規則性や法則性を見い出せるようになること,2)見い出した規則性や法則性が,音韻論における理論によってどのように説明されるかについての基本的な知識や考え方を身につけること,3)日本語や英語のデータを主体的に観察・検討することにより,分析の問題点や改善法など応用的な諸問題を追及できること,などを目標とする。
授業の進め方は講義形式を採用し,指定教科書を叩き台としてトピックごとに内容確認をしながら,随時ハンドアウトにより考察を深めていく。あらかじめ教科書を読んできていることを前提に話を進めるので,授業時には必ず指定範囲を読んでおくこと。評価は出席数・授業中の適切な発言・最終日に行う(一夜漬けの効かない)試験によって行うので,それ相当の積極的な姿勢が望まれる。
なお,この授業は基本的に修士課程の学生のための入門講義(大学院の言語情報科学専攻の「言語科学基礎論 II」との合併科目)である。学部生の履修希望者は,あらかじめ「言語科学への招待 I, II」「基礎言語科学 I, II」またはそれに相当する入門授業を履修していなければならない。
教科書:田中伸一 (2009)『日常言語に潜む音法則の世界』開拓社.
- 基礎言語科学 I:(教養学部・学際言語科学コース)(講義題目: 音声学・音韻論・形態論):音声学・音韻論・形態論を中心に,科学としての言語研究への導入を行う。(統語論・意味論・語用論は冬学期に「基礎言語科学 II」として開講される。)言語分析に必要な道具立ての基礎を学ぶと同時に,具体的な分析例を通して基本的な分析・議論構築の技術を身につける。テーマは以下の通り。
1.導入
2.音声の概要
3.音声の変異・変化
4.音韻構造
5.言語音の心理学:獲得と処理
6.語の概要
7.語構造
8.語の意味
9.語の心理学(1):獲得と喪失
10.語の心理学(2):処理
11.語の変異・変化
12.総括
13.試験
授業の進め方としては,テキストの内容に関する講義と,具体的な言語現象の分析についての演習とをとりまぜて行う。関連論文に関する演習(紹介発表)も含む。テキストは,A. Radford, et al.のLinguistics: An introduction, 2nd ed. (Cambridge University Press).
- 言語生態論(教養学部・言語情報科学分科)(講義題目:言語の進化学:ヒトの生態とことばの起源):池内正幸著『ひとのことばの起源と進化』という本を題材にして,いきものとことば,あるいは生物学と言語学という,一見すると無関係に思える自然と人文の問題が,いかに関連しているかを考える。もっといえば,言語の生物学的基盤や,言語の起源と進化の問題を,学際的な観点から考察することになる。いきものやことばの問題が好きなら楽しい内容になるはずだが,果たして?
本書はこのテーマの入門書であり,とても平明かつ段階的に書かれていて,特に前提知識は必要としない。授業では教員が講義形式で進めつつも,参加者全体と教員で,確認や補足や批判的検討をしつつ,議論を深めてゆく。その過程で,随時,プリントにより補足したり関連論文を読んだりして,考察の話題を拡げてゆきたい。
評価は,出席や発言など授業への積極性30%,期末試験70%として総合的に行なう。
- 言語コミュニケーション論(教養学部)(講義題目:男女のコミュニケーション学):90年代に一世を風靡したDeborah F. Tannenのベストセラー,You Just Don't Understand!(『ちっともわかってない(の)ね!』)のテキストを聴き,そして読みながら,いま改めて男女のコミュニケーションの実態やあり方を考える。
「人間同士が理解し合うのは根本的に不可能である」という『バカの壁』は確かに存在する。そもそもコミュニケーションは同じ言語を用いることが前提であり,だからこそわれわれは世界の人たちとのコミュニケーションを求めて語学に苦心している。しかしながら,自分の母語ではどうだろうか。用いる言語が同じであっても逆説的に,話しても無駄なタイプに遭遇した経験は誰しもあるだろう。そういうタイプとは距離を置けばいいのだが,もしそれが良好な関係を築かなければならない夫婦,恋人,異性の友人だったりしたら???
実を言えば,男女で話が通じないのは相手がバカだからではない。そもそも「人間同士が理解し合うのは根本的に不可能」にできているからである。だからこそ通じ合うには,相手を理解し,相手の立場に立ってことばを選ばなければならない。男女の会話は異文化コミュニケーションであるというのが本書の立場であり,そこを出発点にしてこのテーマについて考えてゆく。
授業の構成は以下のとおり。
1) テキストの聴解,クイズ
2) テキストの読解,解説,ディスカッション
3) テキストの再聴解,確認クイズ
評価は,出席や発言など授業への積極性20%,クイズ30%,期末試験50%として総合的に行なう。
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